僕の心にゴキブリがいた

僕はしょっちゅう人に対して嫉妬する。その対象は友人だったり、全く話したことのない人だったり、道を歩く赤の他人だったりする。

 

初めて人に対して羨ましいという感情を抱いたのは、確か小4の秋だった気がする。

 

毎年10月後半~11月中頃になるとポケモンの新作が発売される。クラス名との大多数(主に男子だが)は発売とほぼ同時にポケモンを購入してもらう。

 

僕は誕生日が11月だったので、いつも誕生日に合わせてポケモンを買ってもらっていた。

 

だが、小4の年、ポケモンは9月に発売された。クラスメイト達がポケモンを購入して、ポケモン談議で盛り上がっている中、僕は早く11月にならないかなーと悩む日が続いた。

 

周りが自分の知らないことを楽しそうに話す姿を見て、見えないひもで胸のあたりを締め付けられるような気持になった。今思えば、あれが初めての嫉妬だったような気がする。

 

僕が嫉妬心を感じるのは、嫉妬の対象の人物が、「僕の持っていないもの」を持っているときである。例えば、小4の時は「僕の持っていないポケモンのゲーム」を所有しているクラスメイトたちに嫉妬したのだ。

 

ここで注意してほしいことがある。僕が嫉妬する対象は、僕の持っていない「物」を持っている人だけではない、僕のもっていない「もの」を持っている人なのである。

 

「もの」は目に見える物質だけを指すわけではない。目に見えないものということもある、例えば「分かり合える友人や恋人」、「自分を誇れる経験」といったものだ。

 

車やパソコンといった「物」を持つ人を羨ましく思うのならまだよい。中には一朝一夕で手に入れることのできない物も存在するけど、自分の欲しい「物」を手に入れることは絶対不可能ではない。

 

だが、目に見えぬもの、お金で買えないものを羨ましく思うことはある。こいつが厄介である。

 

高校生の頃の話だ。クラスの男子は3つのグループに分かれていた。1つは明るくて元気な運動系部活グループ、もう1つは地味めでオタクな人の集うグループ、もう一つはオタクたちほど地味でなければ、やかましいのも好きではないグループ。

 

僕は地味人間なので当然オタクグループであった。こんな書き方をしているので筆者はオタクグループが嫌だったんだろうな、と思う人もいるだろう。確かに満足はしていなかった。だけれどオタクグループはとっても居心地がよくて僕にとっては安寧の場所だった。すごく好きな場所である。

 

話が横道にずれてしまいました。申し訳ない。

 

高校2~3年にかけて僕は運動系部活グループに憧れた。彼らから感じる自信のオーラみたいなもの、もしくは青春を謳歌しているのだ、といった雰囲気に嫉妬していた。

 

居心地のいいグループに属し、面倒な人間関係などなかったのに。そんな場所にいる自分に嫌気がさした。でも、その気持ちが周りにいてくれる友達に対する軽蔑のようにも思えて、自己嫌悪に陥ったりした。

 

僕の「イケてない自分」に対するコンプレックスはここから始まったように思える。

 

「イケてない俺」と「イケている人たち(いわゆるリア充)」を比較する癖がついた。

そうして「イケてる奴ら」に嫉妬するようになった。

 

「イケてる奴ら」は大体、僕にない経験や自信を持っている人たちだ。「僕にない経験」は勝利経験であることが多い。ここでいう勝利経験は、学生時代の恋愛だったり何かに打ち込んだ末に得た輝かしい記録と思ってくれればいい。

 

僕は昔からめんどくさがりだったので何かに長期間夢中になって打ち込めた経験はない。部活でもベンチだったし彼女もいたことはないし、人に舐められっぱなしだし身長もすごく低い(155cm泣)し。

 

そんな自分を振り返り嫌になることは多々あった。そのたびに街を自信ありげに歩く同年代の若者たちを見て嫉妬した。「あいつらは俺と違うんだろな」ってすれ違う時に思っていた。その人の見た目しか知らないのにそう決めつけた。

 

そういう「嫉妬癖」が身についてしまっていた。

 

だが、3年くらい前のことだった。あるときふっと僕自身の「嫉妬癖」について気が付いた。「なんかいっつも比較してないか?嫉妬深いぞ、俺よ」と。それまで僕は嫉妬心に対してみて見ぬふりをしていたのかもしれない。

 

それに気づいてから、この「嫉妬癖」はあらゆるところで出てくることが分かった。地下鉄のホーム、学校の講義室、バイト先などだ。こいつは僕の頭ん中に住んでいた。

 

そして僕の視覚や聴覚をジャックしている。嫉妬対象の姿や声を知覚すると、僕の頭にひょっこりと現れては「いいなあ!妬ましいねえ!」って信号を送ってくる。なんてやつだ。

 

僕は今、この「頭の中の嫉妬虫」を駆除すべく悩んでいる。嫉妬という感情は人に対する純粋な評価を下す際に邪魔をしてくる。時にプライドに語り掛けてきてうっとうしい。

 

おそらく完全にこの虫を駆除できないだろう。何しろこいつは10年以上僕の頭に住み着いている。虫の住みかとなってしまっている。

 

これを読んでる方の中にも「嫉妬虫」と同棲してしまっている方はいるかもしれない。この虫の存在は意外と気づけない。それほど自然に人の頭に住み着く。小さな嫉妬が積み重なって大きな嫉妬につながる。1匹いるなら100匹いると思ってください。ゴキブリのように。

 

よく言われているが、ゴキブリは汚い部屋に表れやすいという。僕の頭もそうだ。失敗の記憶が山積でや低い自己肯定感でグラグラしてる床で、じめじめとして暗い部屋のような心の持ち主である。

 

ゴキブリを減らすには部屋を掃除して清潔にするしかない。つまり心の掃除をするのだ。掃除法といっても様々ある。例えば人に悩みを打ち明けてすっきりすることだったり、自分を受け入れることが心の掃除に当てはまる(と本で読みました)。

 

心の掃除のすすめ。なんて健康的な響きだろう。